ハコバッグ誕生ストーリー
創業132年。
明治生まれの老舗の精神を
注ぎました。
おめでたい引き出ものが出発点。
ハコバッグの開発会社は、かつての加賀藩、石川県小松市にある株式会社三輪(みわ)。九谷焼や加賀友禅が華ひらいた美術文化がゆたかな土地です。5代目社長の三輪毅(つよし)さんに、ハコバッグへの思いを聞いてみました。
株式会社三輪 5代目社長 三輪 毅
おめでたいシーンで使う
木箱や折り箱を作ってきた老舗が、
なぜハコバッグを?
「仕事がら、亡き父は折り詰めだけではなく、包むもの、たとえばバッグも大好きだったんです。1970年代にエルメスやヴィトンのバッグを海外から買いつけて、ブティックを開店するほどでした。」
先がけですね。三輪家は美意識が高い?
「半分は道楽ですよ(笑)。でも、そういう環境でしたから、私自身も良いものを見きわめる目は養われたかもしれません。結婚式の引き出もの袋が、破損しやすい紙袋では味気ないな、と残念に感じたことが、ハコバッグをつくるきっかけです。」
ハコバッグは、
もともと引き出もの袋だったんですか?
「はい。贈る人の大切な気持ちが伝わる引き出ものバッグとして作りました。丈夫でデザインもきれいなら、喜びがいっそうふくらむじゃないですか。」
いちばんのこだわりはデザインですか?
「そもそも木箱や折り箱は、美的な見ばえと共に、包むものにフィットした機能が命。エルメスとかが好きな父でしたが、“デザインだけじゃダメだ”がポリシー。実際に使ったときの“使える喜び”にこだわる人でした。デザインと機能の両立、そこへのこだわりが、三輪家歴代なんです。」
良いデザインだけならいっぱいある現代。
プラスしたのは機能性?
「“見た目はいいけど耐久性がない”とか“使い勝手が悪い”とか、根っこが欠けているバッグも少なくないなと思います。機能が悪ければ、デザインが良くてもそのうち使わなくなりますよね。」
表面的なデザインに流されてはいけないと?
「そんなエラそうなことは言えませんが、明治大正〜令和と、包装で130年つづいてきた理由は、デザインと機能の両立を大事にしてきたからだと思います。いまは全国のデパートから、ありがたい引き合いがあり特設売り場で販売していますが、ご好評をいただけているのも、両立へのこだわりがあればこそだと思っています。」
三輪家の130年の精神が、
ハコバッグにつまっている?
「ちょっと大ゲサですね(笑) でも、これからもその精神を大事に、改良を重ねていきたいです。新作を出すたびに継続して買っていただけるよう、現状に甘えないものづくりにチャレンジしていきます。」
ありそでなかったハコバッグは、
老舗の精神の継承で生まれたのですね。